ヒト由来幹細胞培養液
再生医療の飛躍的な進歩
バイオテクノロジーの進歩は再生医療の分野を飛躍的に進歩させました。細胞が成長や修復の信号を発し、伝達することによって新しい細胞が生まれます。この信号伝達に働いている物質を人工的に培養して原料化したのがヒト脂肪細胞順化培養液エキスなどのヒト由来幹細胞培養液成分で、成長因子やサイトカインなどの優れた生理的活性効果を持つさまざまな成分が含まれています。細胞は体内のいたるところに存在するため、基本的には採取した組織の名前がついた化粧品成分名で表記されていています。主なものをいくつか紹介します。
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ヒト脂肪細胞順化培養液エキス
脂肪吸引などと同じくお腹から脂肪を採り、脂肪幹細胞を分離して培養します。比較的に採取が簡単なため、多くの厳しい検査を重ねても品質の高い原料を安定的に市場に供給することが可能で、日本国内のエイジングケアで最もポピュラーなヒト幹細胞由来成分です。皮膚組織のヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン再生促進機能も報告されています。
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ヒト線維芽細胞順化培養液
主に米国やヨーロッパの美容クリニックなどで販売するドクターコスメで使われている成分です。皮膚の繊維芽細胞を採取、培養しています。
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ヒト卵母細胞溶解質
受精前のヒトの卵子の卵母細胞を培養し、溶解した成分。米国のスキンケアメーカーで使われています。
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ヒト由来神経幹細胞培養液(規定化細胞培地)
歯茎の神経細胞を培養して原料化。日本のエイジングケアでも使われており、チロシナーゼの分泌を抑えメラニンを抑える働きがあると言われています。
生物由来原料としての安全性、効果と価格
ヒト由来の培養液は、日本では近年に化粧品原料登録された生物由来原料で、高度なバイオテクノロジーを利用して製造されています。そのため従来の化粧品原料とは異なる厳しい生物由来原料の安全基準で管理する必要があります。GMP(厚生労働大臣が定めた品質管理基準)準拠はもちろん、化粧品として安全に使用するための各種GLP安全性試験実施など品質管理コストもかかり、その分商品は高価格になります。
最近では、製造コストを抑えるために、医療用や研究用に大量に細胞培養を行う際に副産物としてできる培養液から製造された原料を使用するメーカーもありますが、抗生物質の残存などのリスクが考えられます。また、保存や輸送コストを抑えるために幹細胞培養液をフリーズドライや加水分解処理、賦形剤(粉体にするための添加物)で扱いやすくする場合もありますが、幹細胞培養液は温度や化学物質によって変化しやすいデリケートなたんぱく質であるため効果に影響が出ることが考えられます。
また販売価格を抑えるためにヒト細胞培養液由来成分を微量に抑えて販売している製品もありますが、本来の効果を実感するには、多少お値段は張りますが、安全で活性度の高いヒト由来幹細胞培養液をある程度の濃度配合した製品を選ぶことをおすすめします。